スポーツ医学分析部門

2020年5月24日2 分

組織/液体サンプルの酸化ストレス測定 -自作TBARS法で過酸化脂質の代謝産物を測定する-

最終更新: 2021年2月10日

研究で頻繁に測定され、各病気と関連する酸化ストレス。糖尿病、ガン、神経変性疾患、外傷、脂肪肝炎などで酸化ストレスが上昇するとされます。今回、当ラボでよく利用するTBARS法(一部改変)を紹介します。手法は以下の論文の方法に基づいています。TBARS法については非常に有名な論文のようです。

参考論文:Kikugawa, K.; Yasuhara, Y.; Ando, K.; Koyama, K.; Hiramoto, K.; Suzuki M. Effect of supplementation of n-3 polyunsaturated fatty acids on oxidative stress-induced DNA damage of rat hepatocytes. Biol. Pharm. Bull.2003, 26, 1239–1244.

試薬 0.1M 酢酸緩衝液PH3.5 100ml

  1. 酢酸532μlと酢酸ナトリウム無水67mgを混合し、DWにて100mlにメスアップする

試薬 マスターmix作成

  1. 104mg SDS

  2. 121mg TBA

  3. 80 ㎎BHT + 酢酸10ml

  4. 1と2を50ml チューブに入れて34mlまでDWでメスアップ→3を500ul加える

  5. 酢酸緩衝液を8ml加える

  6. 5.3mlのDWを加える (血漿中等の液体中のTBARSを計る場合、省略→液体用マスターmix)

  7. 50℃加温して溶かす。

  8. マスターmixの完成、-20℃で長期保存可能。-20℃から融解する場合、50℃で十分溶かす。

200nmol/mlテトラエトキシプロパン(TEP;TBARS)標準液作成

 1. TEP 2.2µl+DMSO7.8ul + DW 990µl⇒原液1ml完成

 2. 原液20µl+DW 980µl⇒200nmol/ml のTEPが1ml完成→2倍希釈系列を数点作成し検量線とする。

■反応 組織の場合

  1. 組織の重量測定する

  2. 2mlマイクロチューブ(スクリューキャップ推奨)で組織1:マスターmix 9となるように比を合わせる(組織100mgの場合、マスターmix900ul、組織が100mgを大幅に超える場合は、100mg前後になるようにする)

  3. ビーズ破砕5分

  4. 破砕液500ulを1.5mlチューブに分注する

  5. 4℃ 1h

  6. 95℃ 1h

  7. 氷上数分

  8. 12000g 10 min 4℃ 遠心 ※脂質や不純物が多い場合はブタノール/ピリジン(15:1)を等量加えボルテックス→5000RPM10分遠心する

  9. 上清100ulをブラックプレートへ

  10. プレートシール

  11. Ex. 532 / Em. 585nm

■反応 液体試料の場合

  1. 液体用マスターmix 400ul + 血漿等の液体サンプル100ulをボルテックスミキサーで混合する

  2. 上記組織のプロトコルの5~同様の操作をする。

反応例

右のチューブ内の反応物のように、高度の酸化ストレス下ではピンク色になります。ピンクの発色がTBARS量を反映しています。TBARSは蛍光を発するので、Ex. 532 / Em. 585nmで蛍光強度を測定する事によりTBARSの定量が可能です。

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